同じ経験からでも・・・

今週、満3歳児クラスと年中H組が江ノ島水族館に行ってきました。

 

 

 

 

子どもたちには様々なジャンルの「ホンモノ」に出会う場を作ってあげたいです。

今回の江ノ島水族館もそのひとつ。

 

どちらのクラスも1学期からじわじわと海の生き物への興味が続いていて、

「だったら本物の海の生き物に出会わせてあげたいね」という保育者たちの思いが形になりました。

 

たくさんのクラスがある中、この2クラスだけが水族館に行ってきた理由の1つはここにあります。

日頃の園生活の中で海の生き物への興味が広がり、「海の危険生物」について図鑑で調べたりなど

関心が高まってきている姿を見て、「今かもしれない!」と保育者が感じたのだと思います。

子どもの姿にアンテナを張り、必要な経験を必要なタイミングで準備する。

保育者に求められる大切な専門性の一つです。

 

 

ただし「とりあえずホンモノに出会っておけばOK」と考えてしまうのも、少し違うかなと思います。

子どもたちの中に興味関心がないままホンモノに出会っても、

心が動かずその時間をやり過ごすだけになってしまうこともあるからです。

(大人で言えば、興味のない映画を無理やり見せられるようなものでしょうか)

そのモノやコトへの興味関心をもち、どうしてだろう?と不思議に思う気持ちが芽生え、ここはどうなってるのかな?こうじゃないかな?と探求心が膨らんできた時に出会うホンモノのもつ感動はきっと大きいだろうな、と思うのです。

 

 

 

とはいったものの、これは難しいところもあって、

強く興味関心をもっているわけじゃない場合でも、その場を楽しむことができる柔軟さを持ち合わせているのが子どもたちです。

最初は興味がなかったけどホンモノに出会った衝撃でその世界にのめり込むこともあります。

なので、今回の場合も、クラスの子どもたちによって海の生き物への興味の大小は確実に違うと思います。

でも、それでいいんです。そうであってほしい。

興味がある対象も、その興味の強さも、違うからこそ面白いのではないでしょうか。

 

 

もう少し語ります。

 

 

幼児期は特に(小学校以上もそういう方向性になってきているのですが)、

経験する内容が必ずしも全員同じである必要はありません。というよりも同じであるはずがありません。

だっていろんな子がいますから。

 

子どもによって園で経験する内容、そしてその感じ方さえも異なる。

それがその子らしさや個性、そして後々の学校教育に続く自ら学ぶ力を伸ばしていくことにつながるのだと思います。

 

例えば先週紹介したかかしくん。

どんな学びや育ちがあるのかは先週のブログを読んでいただきたいですが(https://www.ryonan.ed.jp/blog/12081.html

このかかしくんも製作、設置ともに年長全員で取り組んだわけではありません。

一部の有志の子に声をかけて、興味を持った子だけで進めました。

 

 

お寿司屋さんごっこも全クラスでやっているわけではありませんし、

 

 

 

色水に触れる子も多いですが、これも全員経験しているか?というと怪しい。

 

 

 

1学期の桑の実のジャムづくりも集まってきた子たちとゆるやかに楽しみました。

 

 

 

 

 

多様な経験に触れる機会が用意されていて、

その中から自分の興味をアンテナにして、自分で活動を選んでいく。

その姿を横からそっと支えていくことが我々保育者の役割だと思います。

 

もう一つの役割は、異なる経験をしている子どもの姿から、同じ育ちを見取る力。

これも保育者にとっては大切な役割です。

 

鬼ごっこと折り紙で共通する育ちは何だろう?

かかしづくりと桑の実ジャムづくりでは?

水族館に行った経験と、クラスの前のアリの巣を眺める経験に重なる学びはあるでしょうか?

 

少し極端な例だったかもしれませんが、幼児期の子どもの育ちというのは、こんなふうに

様々な活動・経験の上に網目のように広がっている複雑で幅広いものなんだと思います。

だからこそ、経験が異なっていたとしても、同じ育ちがあることもあれば

同じ経験をしていても、異なる学びを得ていることもあるのです。

 

 

「みんなと同じ」は安心感を生みますが、一方で「同じじゃないとダメ」という同調圧力を生むこともあります。

そうなることが子どもにとって良いこととは思えません。

だからこそ「一斉活動」には慎重でありたいな、とも思います。

でも「みんなで何かをする」ことの良さも子どもたちには伝えたい。バランスが難しいですね。

 

 

さて、話を戻すと

水族館やお寿司屋さんごっこ、かかしづくりといった経験を

「いいなぁ」とうらやましがる子どもたちの気持ちをそのままにするわけではありませんよ。

その気持ちも受け止めつつ、一緒にどうしたらいいか考えていくことを大切にしたいです。

 

その結果、クラスで水族館を作ろうか、となってもいいし

桑の実の代わりに何かでジャムを作りたい!となるかもしれませんし

うちはお寿司じゃなくてカレー屋さんやろう!という展開もあり得ます。

 

結果がどうなるにしろ、

気持ちを受け止めてもらって、あれこれと考えていくそのプロセスこそが保育における学びであり、

育ちに繋がる大切なことだと思います。

 

 

綾南幼稚園として、大事にしていきたいこととしてご理解いただけたら嬉しいです。

 

 

 

 

コケが好きな子がコンクリートの溝に生えたコケを採取中に、友達が「何してるの?」と集まってきた場面。

 

なにかを面白がっている人の隣にいることで、自分までその「なにか」が面白くなってくる、ということってありませんか?

そんな時間を大切にしたいです。そんな場所でありたいです。

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