異年齢の関わり

幼稚園では保育後に園庭開放を行なっていますが、毎週金曜はボランティアの保護者の方たちによる野球教室が実施されているため、特に元気な子どもたちの声が園庭に響いています。

幼稚園に通う子から小学生までが参加して、けっこう本格的に練習から試合まで楽しそうに取り組んでいるようです。

 

今はなかなか空き地や公園で野球ができるところは少ないのではないでしょうか。

そもそも空き地や公園は減りつつあるかもしれません。

 

 

我々大人が子どもだった頃は、今よりも緩やかな時代でした。

空き地や公園で、やりたいことを思う存分楽しめていた記憶があります。

そこにたまたま居合わせた年上のお兄さんやお姉さんから新しい遊びを教えてもらったり、逆に小さい子の面倒を見る経験をしたり。

自然と異年齢で遊ぶ機会が増え、そこで学んだことがたくさんあったはずです。

 

 

ところが今は、「ボール遊び禁止!」と大きく書かれた公園があったり、そもそも子どもを気軽に外に遊びに行かせることも防犯の観点からさせない方もいらっしゃるのが現状ではないでしょうか。

 

そういったことを考えると、幼稚園内で大人に見守られながら、異年齢の集団で遊べる時間はとっても貴重なように思います。

特に、たくさんの保護者の方が一緒に遊んでくれることは子どもたちにとってとても大切なことです。

年下、同い年、年上、大人・・・いろいろな年齢の人が入り混じって遊ぶことが「人と関わりたい」という思いを育んでいきます。

 

 

 

 

下に引用したのは国立教育政策研究所が出した異年齢の交流活動と子どもの社会性の発達の関わりに関する研究の一部です。

少し前の研究ですし、長文ですが、興味のある方は読んでみてください。

 

今の子供たちの一番の問題は、「社会性の基礎となる部分」、すなわち「人と関わりたい」という意欲そのものが低下しているところにある。そのことが人間関係の希薄化を生んだり、他人を平気で傷つけたり、ルールを守らなかったり、集団への参加を妨げたり、といった現象になっていくのではないか、という仮説をたてました。(中略)「人と関わりたい」という意欲に乏しい子供に、「人との関わり方」や「あいさつの仕方」を教えてみても、その場限りの効果があればいい方です。その反対に、「人と関わりたい」という思いを育む場合には、一度、欲求に目覚めれば、取組終了後までもそうした思いが持続するはずです。(中略)しかし、そういった「人と関わりたい」という、人間の根元的な欲求のような部分が、今の子供たちに、なぜ育ちにくくなってきたのでしょうか?そもそも、昔の子供には、どのようにしてそれが育ってきたのでしょうか?かつては、近隣の子供同士の交流や、家庭の中でのきょうだい同士の交流の中で、遊びを通して自然に身に付いてきたものだった、というのが答えでしょう。大きい子供は小さな子供をいたわり、守る。小さな子供は大きな子供に感謝し、憧れる。そんな関わりの中で、ゆっくりと育まれてきたのでしょう。もちろん、そこには周りの大人たちの眼差しがあったことを忘れてはなりません。親はもちろん、親戚や近隣の大人たちは、小さな子を上手に遊んであげられる年長者を褒め、小さな子が泣いていれば年長者を叱る—そんな暗黙の共通理解のもと、大人としての役割を果たすことで、子供は健全に育ってきたのです。しかし、地域の人間関係が希薄化し、近所づきあいや親戚づきあいも減少し、少子化によってきょうだい数や地域の子供の数が減ってくる中で、子供たちが「人と関わる」ことに自然に慣れ、「人と関わりたい」思いを自然に感じとっていく、そんな場も機会も失われてきました。社会性の基礎となるべきものが自然に身に付くことは困難になり、学校も困難を抱えるようになってきたのです。(引用:『子どもの社会性が育つ「異年齢の交流活動」-活動実施の考え方から教師用活動案まで-』文部科学省 国立教育政策研究所 平成23年6月)

 

すごく簡単に言ってしまえば、今の子どもたちは昔に比べて人と関わる機会が少なくなっている、ということです。

 

そんな世の中でもあるので、こんなふうに幼稚園の場を使って、たくさんの人の交流の場にしていただけることは嬉しいことです。

 

この野球教室、いつでもどなたでも参加大歓迎のようです。

チラシをいただいたので、掲載しておきます。興味のある方はぜひ参加してみてくださいね。

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